胡蝶之夢

こんな夢を見たい

工場勤務4か月やってみた!

とても辛いです

 

工場に配属されて4か月ほど経ちましたのでちょっと感想でも書こうと思ったのよ。

工場といってもここでは焼却工場で、産廃をやっている会社での話。製造業と違って業界規模が狭いので特定されちゃうかもだが、半分フィクションなのであまり気にしないでください。

 

 

・交代勤務は心身に対して負担が大きい。

20日のうち5日労働し、1~2日の休日を挟むスタイルで、1日を3分割し朝勤(7時~)、夕勤(15時~)、夜勤(23時~)をローテーションする。工場は長期休暇時期以外停止しないので、年中これを繰り返す。朝勤、夕勤はそこまで生活サイクルに大きな変動はないが、夜勤になると急に昼夜逆転を強いられるので非常に負担が大きい。

 

身体の面

ー睡眠サイクルが正反対になることに体が慣れてないため、昼時間中の睡眠で疲労が全く取れない。仕事帰りに寝るが、その質はほとんど昼寝レベルであり、眠気を除去するくらいしか効果がない。仕事中に体の「リセット」が行われているのを感じるが、起きて作業している為蓄積する疲労の方が大きく、5日間疲労は溜まり続ける。明け休(5日目の仕事後は日付が変わっているため、その日は法的には労働日であるはずが、日勤から見れば休日なのでこのように表現する)から休日が1日しかなくすぐに朝勤が始まるため、休日はまさに「休む日」で何かできる体力が残らない。

そもそも業務量が多く休憩時間中に作業することが常態化しており、1日の疲労感が半端ないので帰り即睡眠みたいになっているので、全く何も出来ない。残業が少ない(無いとは言っていない)のが救い。というか残業なんかしたら死ぬと思う。

 

精神の面

ー班での作業となり、人間関係の大部分はその班内のみで形成される。社内ですら他部署とのやり取りはほとんど無く社外に至っては0であるのでその辺割り切れるかどうか。しかし大抵の精神的負担は「人間関係」に起因するのでかなり重要だ。誰しも何かしらで相いれない部分は存在するので、その折り合いを自分で付けられないと壊滅的な状況になりがち。定型業務であればそこまで意思疎通する状況には無いが、新人と先輩/上司の関係では何かとコミュニケーションをとる必要が多い。どんな相手でも何らかの精神的負担は存在する。

ー時間的余裕は残業が無い分、1日の中で余裕はある。しかしそのほとんどは「休息」に当てないと体が持たないので何も出来ない。特に夜勤に至っては夕方以降から体は休息モードに入っていくのに出社しなければならない状況に追い込まれるのでかなりメンタルに来る。徒労感や後悔や無力感、自暴自棄的な精神状況と5日間闘いながら、労働に励む必要がある。

 

・業務内容が危険を伴うが、迅速な作業を求められるので防護面でおろそかになる

ー取り扱う物が産業廃棄物であり、極めて身体へ毒性のあるものを手作業で取り扱う。本来は防塵防毒マスクなりをつけて作業するべきだが他の業務も並行して行わないといけないため、そのような措置は実際には取られない。液体が皮膚に付着して赤く腫れることは日常茶飯事である。溶剤臭があまりにもきつすぎてむせ返る毎日を過ごしている。粉体の廃棄物(接着剤の素みたいな奴)が舞いまくってる中で溶剤が入っていたドラム缶の中に頭突っ込んで中身を取り出す作業を当たり前に行っている。仕事に追われて自分を見失いがちだが、わが身は自分しか守ってくれないので無能判定を喰らっても安全に作業するべき。

 

・常態化する休憩/休暇無い自慢

ー新人には休憩/休暇を与えるような風土があるが、それはあくまでも「新人プレミアム」であり2年目以降は激務に追われ休む暇が無い。上司の有給溜まってる自慢はあほ程聞いてうんざりする。大体有給そんな溜まってるなら使えよ。何と闘ってんだよ。また、休憩時間は1時間半あるが休憩時間中はいくら労働してもOKという風潮がある。新人の自分ですら既にフルに入れていない。この中で肉体労働はかなり辛い。皆辛い思いをしているのがタチ悪く、泣き言を誰にも言えない状況となっている。誰も言わないのがまずいと思うのだが。

 

以上から工場勤務は3K(キツイ、キタナイ、キケン)の地でいく労働で、労働耐性のある者だけが(勝手に)セレクションされて、耐性のある「強い人」だけが100%労働することで運用される工場となってしまい、毎年耐性のない新人がバタバタ辞めていくのだろうと思う。

 

いい面は無いのか?ということで何かいい所でも挙げておく

 

・給料は(労働の単純さの割に)良い

三交代すると交代勤務手当や深夜手当がつくので基本給からの上乗せが大きくとても魅力的だと思う。しかし基本給自体が割安だと感じる人は色々手当をつけてようやくそれらしい(普通の)給料と感じることもある。年休90日で三交代手当深夜手当残業込みでの収入は大手製薬企業年休120日残業代なしで見込まれる給料と同額かちょっといいくらい。人間性を捧げて同額の給料貰うくらいなら安くて良いからもうちょっと楽な仕事を選びたかった。

 

・平日休みに計画を立てられる

ここはコロナのない世界であると仮定すると、世間様が平日の時に休日が入ると一人で小旅行する際は観光地が混雑しないので行きやすい。役所なんかも平日にわざわざ休みを貰っていく必要もない。ハッピーアワーに意気揚々と乗り込んで酒を煽ることもできる。屈強な肉体を持ち、休日に遊びに行ける体力を持っていればそれなりに楽しい休日を過ごせると思う。

 

・仕事のストレスを家に持ち込まなくていい

現場仕事なので仕事を家に持ち込まずに済む。退勤打刻を押せば出勤打刻までしっかりフリーで、オンオフははっきり出来る。これに関してはデスクワーカーには無い大きなメリットで、家では余計なストレスなく仕事辞めたいとか言ってられる。その代わりテレワークは一切ないが。

 

工場勤務して得られるもの

・忍耐力(肉体)

ー24時間どの時間帯にもベストコンディションでの仕事を要求されるため、これに対応する力がつく。肉体労働によって若さと引き換えに謎の忍耐力を身に着けよう!

・世間との疎外感

ー祝日の無い世界でひたすら工場とともに生きるため、やれ働き方だやれテレワークだ時差通勤だなんだかんだに全く影響が無い。休日イベントも休みを貰わないと行けないし(休みは取り辛いが)隣の住民からどう思われているのか分からない。休みをくれ。

 

失う物

・精神的余裕

・若さという時間

・自信

・充足感

・プライベートを楽しもうという気持ち

・髪

etc... ...

 

と色々dis...列挙したが結論は「体力と夜勤耐性があるなら出来る。そうでないなら出来ない」かな。労働環境に目を瞑れば。

 

1年は続けないと単なる根性無しかなと思っているので(流石に数か月では設備関係の実務が身につかない)もうちょっと頑張ろうと思っているが、数年やるには体が持たないので次のキャリアを考え続けている。皆さんは仕事場でゴミを出すときしっかり決めれられたルールを守って分別して出してくださいね。現場がもう少し楽になるかもしれないので。。。

 

なんかついでの雑記

 

産業の影(いわゆる静脈産業)は中々面白いものがあると思う。製造過程で出たゴミもあれば研究所から出た廃棄物もあり、流通や小売りから出た不用品もある。要らなくなった物を処分すると簡単に言うが、焼却プロセスには厳しい環境基準が敷かれていて、ただの炭化水素ですらダイオキシンを生成するため規制対象だし、重金属の類も濃度規制が敷かれている。この辺の現場の苦労は産業界全体で理解して欲しいし、出来るだけゴミを出さないような工夫や改善を製品設計/製造段階で取り入れてくれると良いと思う。

 

個人的には製品設計の段階でリサイクル達成率を上げる工夫を凝らして欲しい。建設系廃棄物とは違い化学系廃棄物は炭化水素、樹脂、金属類が混ざってしまうのでリサイクルが非常に難しい。結局焼却処分が最も低コストでしかも安全だったりするのだ。循環型社会形成には焼却炉を憎んで批判し潰そうとするのではなく、製造側が1つ1つの製品に対しどれほどのレベルでリユース、リサイクル可能か検討し、常に改善するよう促していく方が重要に思う。